袋地とは
袋地とは、有効宅地部分と路地状部分により構成される土地をいいます。宅地分譲される際に、路面に敷地が接している家と、駐車場部分だけが路面に接していて、駐車場の奥側に家が建っている家があります。袋地とは、路面に接している土地が駐車場のみとなっているケースをいいます。
路地状部分は建築基準法上の道路に接していることが必要です。したがって、路地状部分が建築基準法上の道路に2メートル以上接していれば、袋地にも家を建てることが可能ですし、中古物件として売却することが可能となります。
袋地の路地状部分は、有効宅地部分から道路に出るための通路としての役割を持っているだけでなく、緊急時の避難路、消防の出入口としての機能も持っています。そのため路地状部分の幅と長さは、有効宅地部分への出入りの良否を左右する重要な要素となります。幅員は広い方が高く評価され、長さは短い方が高く評価されます。
袋地を評価するにあたっては、袋地を有効宅地部分と路地状部分に分けて考えて、次にこの二つの評価額を合算して、袋地全体の評価額を算定することになります。
有効宅地部分
一般的な小規模住宅分譲地における袋地の有効宅地部分は、周囲を隣地によって囲まれています。これら隣地に建物が密集して建っている場合には、日照の得られる部分、通風の通り道が路地状部分しかないわけですから、路地状部分の幅員が狭ければ狭いほど、日照条件が悪くなり、通風状態も悪くなります。
そして、有効宅地部分の面積が小さい場合には、なおさら日照などの条件は悪化してしまいます。また、路地状部分の長さは、有効宅地部分から道路への出入りや避難に不便をきたすため、有効宅地部分は路地状部分の長さによって影響を受けます。
一般的な小規模住宅分譲地では、より多くの分譲区画を捻出するために、各地を整形地(長方形や正方形)として取ったあとに残された無道路部分を分譲する手段として使われるケースが多いです。
そして、このような袋地の場合、路地状部分の幅員は2メートルから3メートルがほとんどであり、これらの幅員の差では有効宅地部分に格差をつけるほど、日照や通風が左右されるわけではないため、通常は、路地状部分の幅員による補正は行われません。
したがって、有効宅地部分の補正は基本的な補正(不整形の補正は有効宅地部分の形状について行い、間口狭小補正、奥行逓減補正は路地状部分も含めた全体について判断)を行ったうえで、さらに減価を実施します。
有効宅地部分の評価で用いる減価率は、下記のとおりです。
- 路地状部分の長さが10メートル未満の場合は、減価率がマイナス10%
- 路地状部分の長さが10メートル以上20メートル未満の場合は、減価率がマイナス15%
- 路地状部分の長さが20メートル以上の場合は、減価率がマイナス20%
なお、奥行逓減とは、敷地の奥行の度合いをいいます。標準的な画地の奥行に対して担保土地の度合いが大きいと、その程度によって奥行部分の利用効率が劣るため、補正の対象となります。
路地状部分
路地状部分の評価においては、路地としてのみ利用できないことからゼロ評価とするケースもあります。しかし、幅員が広い路地状部分、たとえば3メートルの幅員があれば、駐車場や庭としても利用することが可能です。
このように、路地状部分が通路以外にも利用価値が認められる場合には、他の袋地と比較すると、その分市場価値が高まることになりますから、一定の価値を認めても良いことになります。
そこで、路地状部分の評価の方法としては、路地状部分の幅員が狭くなるほど減価率が大きくなる方法をとります。具体的には下記のとおりです。
- 路地状部分の幅員が3メートル以上の場合は、減価率はマイナス30%
- 路地状部分の幅員が2メートル以上3メートル未満の場合は、減価率はマイナス50%
袋地の評価の具体例
対象不動産の具体例
評価をする対象不動産の具体例として、下記の要素を挙げます。
- 土地は更地状態
- 形状は袋地で、有効宅地部分は正方形の土地となっており、路地状部分は長方形の土地
- 土地面積は130uとなっており、そのうち有効宅地部分が100u、路地状部分が30u
- 路地状部分の幅員は3メートル
- 路地状部分の長さは10メートル
- 路地状部分の土地は、建築基準法上の道路に接している
- その他の要素は、近隣地域は標準住宅地域となっている。近くには、この地域の標準的画地があり、その価格は1uあたり10万円。路地状部分の価格は、1uあたり5万円と仮定できます。
有効宅地部分の評価
袋地における対象地を評価するときには、有効宅地部分と路地状部分とに分けて算出します。なお、有効宅地部分と路地状部分のいずれについても、不整形や間口狭小補正、奥行逓減補正などの基本的な補正はすでに実施されているものと仮定します。
有効宅地部分の評価については、地域の標準的画地の土地価格から基本的な補正を行って算出された価格が1uあたり10万円とすると、路地状部分の長さが10メートルであるため、減価率はマイナス15%として算出されます。
つまり計算方法は、基本的な補正を行った価格である10万円×85%×土地の面積100uとなり、有効宅地部分の評価額は850万円となります。
路地状部分の評価
地域の標準的画地の土地価格から基本的な補正を行って算出された価格が1uあたり5万円として、路地状部分の幅員が3メートルであるため減価率はマイナス30%として算出されます。これに基づいて、路地状部分の評価額は「1uあたり5万円×70%×土地の面積30u」として計算され、評価額は105万円となります。
袋地全体の評価額
有効宅地部分の評価額である850万円と、路地状部分の評価額である105万円を合算して、955万円が対象地の評価額となります。袋地を所有しているメリットとしては、評価額に減価率が適用されることによって、売却した際には譲渡所得が発生する確率が減少するため、税金を納める義務が発生する確率が減少する点にあります。
袋地を高く売る方法
このように、袋地を売却する場合には、複数の要因で評価額が減価されてしまうことが明白となりました。そのため、袋地に建っている家を売却する場合には効果的な工夫が必要となります。
ひとつの方法としては、隣接している家を購入し、所有している敷地全体が道路に広く接している正方形や長方形といった形にすることがポイントです。このような方法を用いれば、評価額を算出するさいに減価率を適用する必要がなくなりますから、家を高く売ることができます。
家を高く売ることができた場合には、譲渡所得が発生し、所得税などの税金を納付する義務が生ずる可能性がでてきます。
また、隣接している敷地が角地に立地している場合は、この隣接している敷地を購入することによって、自分が保有する敷地を優良な角地とすることも可能となります。方角が東南であれば、なおさら好条件となります。そして、隣接地を買い取ることによって敷地面積が約200u程度となります。
仮に、標準住宅地域であれば高い評価を受ける角地となり、プラス10%程度の補正率を得ることができます。そのうえで、保有する敷地を売りに出せば、もちろん減価率を適用する必要もなく高い金額で売却することに成功する確率が高まります。そして、その結果譲渡所得が発生し、所得税などの税金を納める義務が生じる確率が高まることになります。
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